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第2回 「京都におけるクルマと公共交通の競合と共存〜交通需要管理(TDM)」
- 日時
- 2002年8月31日(土) 13:30〜17:00
- 会場
- 京都商工会議所
- 討議参加メンバー
- コーディネーター
- 佐々木 佳継 氏 (地球温暖化防止京都ネットワーク)
- 話題提供・問題提起者
- 北原 良彦 氏 (株式会社計画情報研究所 代表取締役)
- 新田 保次 氏 (大阪大学工学研究科助教授)
- 円卓会議コアメンバー
- 北村 隆一 氏 (京都大学大学院工学研究科教授)
- 中川 大 氏 (京都大学大学院工学研究科助教授)
- 酒井 弘 氏 (社団法人システム科学研究所)
- 藤野 祥一 氏 (河原町商店街振興組合理事)
- 土井 勉 氏 (千里国際情報事業財団)
- 山下 信子 氏 (京都弁護士会公害対策・環境保全委員会副委員長)
セッション1 TDM施策・交通社会実験の事例
話題提供1 金沢におけるTDM施策と交通社会実験の経験
話題提供者 北原 良彦 氏 (株式会社計画情報研究所)
金沢のTDM施策は、単なる需要管理だけでなく、道路容量の拡大施策と需要管理、マルチモーダル施策の三つで総合交通円滑化をしている。まだまだ行なわれている道路づくりとあわせて行なわれるTDM施策について、お話いただいた。
- 金沢の交通政策は「三種混合ワクチン」である。一つが道路容量拡大策、次にTDM(交通需要マネジメント)施策、そして、マルチモーダル施策である。
- 金沢の実験は、計画を実施に結びつけるための実験である。うまくいけば実施、うまくいかなければ計画内容を修正する。都心軸はあるが、それを貫く公共交通がない金沢では、20年間新交通の話がでている中で、地下鉄、ミニ地下鉄、地下バス、デュアルモードバス、LRTなど様々な話題があがっていたが進んでいなかった。それを実施しようとしているのが金沢の実験である。
- 交通社会実験について
12年度は、トランジットモールの実験で金沢都市圏に影響があるかないかを広域的に実験して調べた。13年度は、全国都市緑化フェアがあり、金沢の中心地(兼六園、石川城などがあるあたり。京都でいうと河原町や烏丸などにあたる)で約120万人が集まった。車では無理という状況の中、郊外に車を置いてバスでくるか、モーダルシフトは可能かが実験のポイントであった。14年度はバス網再編の実験だが、明らかに実施に向けて3ヶ月間試行したというものであった。 - 金沢の政策についての概況
金沢市の人口45万人。都市圏と周辺(松任市、野々市町、津幡町、内灘町、鶴来町)をあわせて65万人。京都の三分の一である。都市構成歴史と文化がある点で京都に似ているといわれるが、都市構成は違う。格子状の京都に対して、金沢の道は放射状で、かつ直線で行けないような三叉路の形態をなしている。京都と同じように都市集中型だが、金沢は線的な広がりをもった街である。
都市の目標
- 開発と保全の両立を目標としている。都心部は保全、郊外部は開発。都心軸の形成(軸上に都市をのばしていくという計画)。南の開発を進めようとする京都と同じである。
交通環境
- 京都との違いは交通局がないこと。バスは民間の北陸鉄道一社独占で、何とか黒字を守っているが、それはバスターミナルの売却等の補填でかろうじて保っているという状態である。事業主体が民間であることが大きなポイントである。金沢では、規制緩和の影響による参入の自由よりも、撤退をどう防ぐかがバス路線の維持に対する大きなポイントとなっている。放射に対して環状道路をつくって車に対応しようとしているが、まだ未整備である。
主な交通政策
金沢都市圏における主な交通関連計画は以下のようなものがある。
- 石川県第3次渋滞対策プログラム…主体は石川県道路交通渋滞対策協議会で、策定は平成9年11月。渋滞ポイントにおける混雑解消を目的とし、主に交通容量拡大を推進する施策である。施策例として、環状道路の整備や、パーク&ライド(以下P&R)の推進などがある。
- 金沢都市圏パーソントリップ調査…主体は金沢都市圏総合交通計画協議会で、策定は平成10年3月。金沢都市圏の将来における都市交通体系の提案を目的としており、施策例として将来需要に基づく整備目標道路網及びマスタープラン道路網の提案、交通需要マネジメントの提案などがある。
- 金沢オムニバスタウン計画…主体は金沢市で、平成10年3月策定。オムニバスタウン計画の実施推進を目的にしており、施策例としてコミュニティバス、ノンステップバスの導入、バスレーンの延伸などがある。
- 新金沢市総合交通計画…主体は金沢市で、平成13年4月策定。金沢市の交通施策の総合的な検討と方向性の提示が内容で、環境負荷の小さな持続可能な都市を形成する交通体系の推進、ひとにやさしく安全、安心な交通体系の推進などを謳っている。
これまでの交通施策の取組について
金沢市の交通施策を整理すると以下のように分類できる。
- 新しい交通システムとして新交通システムの調査研究
- 公共交通の活性化として、バス走行環境の改善、バスの利便性向上、都心活性化との連携、総合施策の推進
- TDMの推進として、交通空間の拡大、適切な交通手段への誘導、交通需要の効率化、道路空間の有効利用
- 駐車場・駐輪場の適正利用として、駐車場の誘導案内、違法駐車、違法駐輪防止、C&R(サイクル アンド ライド)の推進
- 交通環境のバリアフリーとして、公共交通機関のバリアフリー、新たな交通手段整備
- 地区交通計画の推進
- 環境への配慮
- 市民との連携強化として、市民意識の啓発、社会的実験の推進、市民の参画
- 「交通巡視員」を配置し、バスレーン遵守のため、プラカードをだして違法走行している車をもどすという人の手をかりたものもしている(雇用対策の一環でもある)
新金沢交通計画
基本理念…「ひと・まち・環境が共生する21世紀型交通体系の構築」
- 四つの目標
-
- 環境負荷の小さな持続可能な都市を形成する交通体系
- ひとにやさしく安全・安心な交通体系
- まちの魅力を高め活気づける交通体系
- 交流を促進する円滑で快適な交通体系
- 数値目標
-
- 鉄道、バス利用者数を1995年比で10%アップ
- 全市民が、月に一度は自転車を利用せず、公共交通や自転車に転換
- 交通運輸部門の二酸化炭素排出量を1995年レベルで安定化
交通政策全体の目標
- 公共交通などへの転換(削減目標−3.5%)
- 自動車の燃費向上による削減(削減目標−19.3%)
- エコドライブの推進(削減目標−0.5%)
- ITS・TDM・道路整備による渋滞緩和(削減目標−3.1%)
- 物流の効率化(削減目標−3.8%)
- コンパクトシティの推進(削減目標−4.2%)
このように交通政策全体を6つに分類し、それぞれの削減目標と目標値を定め、2010年時点における二酸化炭素排出量を1995年レベルで安定化させる(2010年レベルで34%削減)ことを目標とした。
金沢都市圏交通円滑化総合計画
- 交通容量の拡大と交通需要の削減を組み合わせることを眼目に置いている。
- 主な施策として道路容量拡大策、TDM(交通需要マネジメント)施策、マルチモーダル施策がある
バス利用促進策
- バス利用の改善、交通結節点機能の改善、マイカー規制公共交通への転換を柱としバス利用促進策を実施していく。
- 平成12年度実験…終日バス専用レーン、P&Rでのバス券無料配布
- 平成13年度実験…休日バス専用レーン、P&Rでのシャトルバス運行、郊外P&R
- 平成14年度実験…都心のバス網再編
今年度はバス網を大幅に再編する。実験に終わるのではなく4月以降も行い、金沢の大きな交通網を創ることを目標に行っている。
話題提供2 英国の交通まちづくり戦略をめぐる動き
話題提供者 新田 保次 氏 (大阪大学大学院工学研究科助教授)
- オランダでは15年前に交通政策に目標値を掲げてやってきているが、日本において実際に二酸化炭素削減の目標値もあげている金沢の取組は先進的である。
- 交通が変わればまちがかわる。また、需要マネジメントでは人がかわることがポイント。また、人の意識に働きかけることで、交通環境がかわらなくても能動的に人がかわる。人と交通とまちが関連して良いまちや人ができていけばと思う。
- 日本では交通体系を示すような一本化したものがない。その意味でもイギリスの例は参考になる。
- 道路、空間、鉄道をたばねて10年〜20年後をどうするかという総合的な政策がないと、対策をうつときのよりどころがなく、地域が困る。
- 英国の中で、ローカルトランスポートプランが参考になる。欧州では、交通の主体はこれからは地方自治体であることを国も認識している。日本では交通バリアフリー法ができたため、半ば強制的にやらなくてはならない状況になってきたが、自動車交通や違法駐輪の対してどういった手をうつか、交通需要マネジメントもひっくるめて考えていくべきである。
- 英国での交通政策での一つの大きな柱は目的が持続可能な社会を作るといううえで交通を位置付けているところである。そして、それを達成するための方法として交通機関、環境、福祉、教育などさまざまな分野との統合化を挙げている。
- 目的は持続可能な社会をつくるための交通政策。ローカルトランスポートプランに含まれる内容は、表2(略)のようなものをひとつのたばねるというもの。
- 日本でも参考になると思われる交通政策をとったオックスフォードは人口十数万人の観光都市である。1973年、議会で自家用車抑制派の案が通り、4つのP&R駐車場ができた。
- オックスフォードにおける交通政策は自転車、歩行者にも力をいれるというバランスのとれた交通政策を掲げた。交通政策を実施する上で何が大切かを考えることがポイントである。そのために配慮すべき対象の優先順位を決め、ここで合意を得た。
- 通過交通の中心市街地への流入を規制し、その周辺に車は入れるが通過できないアクセスレーンを、その外に通過交通を回すようにし、中心市街地をトランジットモールとした。また、荷捌きゾーンも設けた。
- 観光客に対しては、自転車のパーキングがどこにあるかということを明示するような地図づくり、どこを通ったらいいかとかというインフォメーション与えるマップ作りをしている。
- 車止めの対策、郵便輸送車に暗証番号で通過を可能にするということによって、そのための技術開発もなされている。
- 歩行者自転車バスを充実させ、自家用車を使いにくくするといった、公共交通優先の対策を講じた結果、商店街の客の減少は見られなかった。人の数は増えた。
- オランダでは中心市街地は路面電車、自転車が中心になっている。国鉄の駅周辺のメインストリートなども、かつては自動車が走っていたが、駐車場を増やすという自動車支持派と車道を狭めて自転車道や歩道を広げるという公共交通自転車支持派が出した案をそれぞれ住民投票で諮った結果、公共交通支持派が僅差で勝った。
- 今日、道路の使われ方、まちを賑やかにするには、などいろいろなメニューが出ている。いろいろ提案して効果を見てみる段階ではないか。
質問
- 酒井(システム科学研究所)
- (北原氏に対して)公共交通について市民の動きはあったのか?
- 北原
- 交通に関しては交通市民会議があり、政策提言、高校生と活動したりしている。また、公務員、民間企業、商店街などの若手の人間が「立場上言えないこと」を言って政策提言をする「金沢の都市と交通を考える会」がある。
- 会場からの質問
- 金沢には、市電があったと思うが、廃止理由は?
- 北原
- 市電がなくなった理由は京都と同じで自動車交通に対応した都市形成をするという目的である。運営母体は北陸鉄道。なくなったのは昭和50年代である。
- 都心部の渋滞をどう解消するか、ということで住居、工場を郊外へ移し、そのために市電を廃止し、自動車交通に対応したまちづくりが当時の都市政策だった。
セッション2 京都における交通まちづくり
話題提供
土井 勉 氏 (千里国際情報事業財団)
観光地の課題と魅力
- 嵐山は日本屈指の観光地だが、観光客数が伸び悩んでいる。東山区の「ねねの道」と比して歩く魅力が少ないからだ。また、嵐山の位置する右京区は、人口が20万人で伏見区に続いて二番目に大きい区で、宝塚市とほぼ同規模である。また、観光客ばかりでなく、地元の人たちにとっても魅力のあるまちで、歩いて楽しんでもらう観光地でもある。
- 某観光駐車場の収入を調べると、収入額の最低は2月。多いのは春ともみじのシーズンで、秋のほうが段違いに多くなっている。11月末になると、天竜寺前の長辻通は、人でごった返し、実質的にトランジットモールになっているという状態になっている。この頃が全てのピークである。
右京区の交通問題
- 11月には観光客はもとより、地元住民も全く動けない。また、日常的にも南北の交通手段、道路が不十分なため、動き辛い。また、公共交通も自動車からの転換の受け皿としてはインフラ不足だ。このような問題について、右京区の皆さんにより「右京来夢らいと計画21」がつくられた。右京区の基本計画である。
- 一番大きな問題は公共交通の問題。話し合いの中でみえてきたのは、道路の問題。インフラ、道路が不足しているところが多い。計画はあるが未整備のままで残っている。もうひとつは地下鉄の東西線の延長である。
- 計画をつくって終わりではなく、右京区まちづくり円卓会議をつくることが提言されている。現実に円卓会議は動き始めたが、なかなか難しいのが実情。嵐山の交通社会実験に期待できることは、長辻通のモール化と、自動車交通対策、公共交通利用促進策がある。
- 最混雑時に実験するのは良いが、地域の魅力を高めていくには、それ以外のシーズンにおいて地域の魅力づけができないのか、そうすればイギリスの例のようなものが期待できるのではないか。例えば、オープンカフェやモールなどができたらいいと思う。
- 嵐山交通対策研究会ができている。これまではなかったこのような多様な立場の人たちが集まって議論する場ができているので、それは継続発展させてほしいと考えている。
- 今、必要なのは、市全体の観光に対する姿勢の明確化。70年代にはマイカー観光拒否宣言をしたはずが、今では消えている。例えば、「京都は歩いてきた方があなたにとって魅力的ですよ」という言い方で呼びかけてはどうか。
- 交通の話はまちづくりと連動していく。嵐山でも「京都嵐山音楽祭」が9月21日、22日に予定されている。このようなことがシーズン以外に行われることで、地域の活性化にもつながるのではないかと考えている。
話題提供
藤野 祥一 氏 (河原町商店街振興組合)
- 商店街振興組合の構成している組合員の年齢層はそんなに高くないが、組合に出てくるメンバーは平均年齢50歳を超えている(藤野氏は理事で最年少43歳)。
- テナント店長などは商店街振興組合には参加してもらえず、組合の維持存続が危ぶまれている。組合で何とかしなければと考えていたところに都心の100円循環バスの社会実験の話が持ち上がった。
- 都心部の商店街の間では、16商店街がまとまって動こうとしている。そのスタートは、100円循環バスである。商店街が集まり、京のアジェンダ21フォーラムや中川大京都大学助教授と協働で取り組んだ。まず、16商店街の中で動く人が10名ほど集まり、100円循環バスの応援団に参加した。
- 取組の中では採算ベースにはのらず、応援団は必ずしも成功とは言えなかったかもしれない。しかし、このことがきっかけで昨年度10月に16商店街のまちづくり組織「中東活性化委員会」を結成した。まちづくりに前向きに取り組んでいこうということで、交通も含めていろんな動きを立ち上げていこうとしている。現在、大学の先生、行政や市民団体の方に参加してもらっている。
- 商店街は「儲かること」が第一義だが、公共交通を商店街活性化のための重要な手段として考えて、京都の独自性、地域特性を活かして、京都の町衆の復活を軸にして取り組んでいきたい。実際は、まだ商業者は交通問題を個別に考えるところまではたどりついておらず、その準備が始まったという段階である。
話題提供
山下 信子 氏 (京都弁護士会公害対策・環境保全委員会副委員長)
- TDMについては大筋合意ができているのにも関わらず、なかなか進んでいないのが現状である。交通に関して基本理念を明確にして交通政策全体について統合的なあり方を示していく法律ないという点が問題である。環境基本法はあるが交通基本法はない。
- イギリス、フランス、オランダなどが交通基本法を持っているのに対し、日本は昭和27年の5ヵ年計画からはじまっているが、総合的なものが未だない。それは道路、鉄道とそれぞれ所轄がわかれている縦割り行政であることと、交通政策とまちづくりや都市計画との連携が十分に図られていないという課題から交通基本法の制定が必要だと考える。
- 提言をつくるにあたって調査に行ったロンドンがおもしろいことをやっている。ロードプライシングを導入しようとしているが、市長が決定をだす前に長い間、地区住民への説明を重ねてきている。しかし、ロンドンの市長自身がロードプライシングによって周辺が渋滞するという理由で、住民から裁判で訴えられている。住民参加の手続きを重ねる仕組みをもっていても、反対意見が出るのが当たり前である。そのために、住民は不満を常設の第三者機関である「インスペクター」に異議申し立てができる仕組みが整えられている。そのために、都市計画部門の公務員や法律家、弁護士など専門家が、ボランティアでそれぞれの専門分野から環境問題や都市計画について住民からの異議申し立てを聞く協会がある。つまり、専門家が住民を支援するシステムが確立しているのである。
- 11月29日の9時からの近畿弁護士会の大会では、交通基本法について議論する機会を設ける予定だ。京都市において地域交通計画をつくろうという案がでているが、どう実現していけるかをシミュレーションする。
質疑応答
- Q 会場からの質問
- 金沢、英国、オランダの場合など話があったが、交通政策の主体は誰なのか、交通施策の提案や立案さらには実施について市民はどのような形で参加しているのか。
- A 新田氏
- 政策や計画の主体のオーストライズは最終的には行政である。オックスフォードの場合は、行政が政策を立案し、計画を策定し、それを市民に提示してヒアリングをする。異議があれば修正し、再び市民に提示するということを繰り返して最終段階で市民意見の聴取が終わったら、市の関連委員会で審議決定する。それでもなお異議があればインスペクターが、レフェリーとして行政に修正を促すというシステムになっている。市民参加は公共市民としてどうやっていくかという役割で参加、それも構想、計画段階で入った方が良いと思う。だが、日本では第三者が入る機関がない。
- A 北原氏
- 日本の場合、道路は国道、都道府県道、市町村道それぞれ建設主体、管理主体になっている。また、規制については全てが警察の役割である。また、公共交通はその事業者が行なうという形になっている。交通基本法をつくり、施行していく場合、それらを全て一本化してやっていかなければいけないのではないか。合意形成については、議会承認されれば合意形成されたとみなされるが、そういった形はもう綻びだしている。
- Q 会場からの質問
- 車で子どもを亡くした身として発言するが、安全なまちについてイギリスなどの事例は日本で通用することなのだろうか。
- A 新田氏
- 安全の問題は基本である。それを守れない交通計画ではダメである。ハウテンというオランダのニュータウンだが、自転車道がメインストリートになっている。安全を設計思想にどう生かすか、運用の仕方が重要だ。
- Q 佐々木氏
- 京都の交通政策、TDM施策において何が大事なのか。
- A 北村氏
- 重要な課題として、誰が計画や施策をつくるのかということがある。日本はその制度がない。「地域自決」が前提だと思う。だがその仕組みが全くないのが問題。行政主体から市民主体に変えるべきである。住民が中心になって行政がサポートするようなシステム、仕組みが必要だ。交通マスタープラン策定段階などで見受けられるのは、密室的なところで大事な計画が作られることである。良い制度になれば住民が「良い計画」と思うようになるだろう。
- A 中川氏
- 安全の話はきわめて重要で、そのリスク管理のようなものはまだできていない。それが常に反映されるようにしなければならない。市民が参加することが責任を持つということとつながっていくことになる。意思決定については参加をしてもらう、失敗した際にはそれなりの責任をとるという形にするべきだ。例えば、醍醐のコミュニティバスはひとつの例になっていくのではないか。
- A 酒井氏
- TDMで金沢であったような優先順位の京都バージョンをつくっていかなければならないだろう。京都府も京都市も交通の総合計画がない。大きな都市づくりの理念と具体的なTDM施策をつなぐ交通マスタープランがないと優先順位に立ち戻れない。市民から行政を巻き込んで、同じテーブルにつけるようにしていったらどうか。「歩いて暮らせる街づくり推進会議」で議論になるのは、一番は安全。優先順位を京都用につくることが必要である。
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セッション3 討論〜市民参加でめざす持続可能な交通システムの実現
討論
- 会場から
- 嵐山についてだが、バス専用レーンが守られていない。標識だけあっても守られない、TDMを実行する場合も強制力がなければ意味がない。
- 北原氏
- バス優先レーンの確保についてだが、4車線ないとバスレーンはできない。そういうところは限られているのでリストアップされている。警察の基準や、周りの交通に影響を及ぼさないところを照らし合わせた上で設置されていく。大きなマスタープランがあって、その中で意図があって、それから基準に採択される。守られていないのも事実だが、緊急雇用対策で雇っている人が「バスレーン実施中」という看板を出すことで、わりと金沢では守られている。
- 荷捌きの問題だが、裏通りに「荷捌き駐車場」ができている。多少の目こぼしはあるが、基本的に路上での荷捌きは規制時間外だけである。
-
P&Rについては、通勤時、GW・イベント等休日、大規模イベント時3種類ある。
- 通勤時のP&Rは苦戦している。専用駐車場ではなく、郊外の商業駐車場を使わせてもらっている。商品券を買うと駐車料金が無料になるという仕組み。
- 休日は金沢西、東の両インターチェンジの周辺に650台の駐車場を2箇所用意している。平成12年度の実績では、一日は1000台くらいの利用があった。金沢市の中心部には3000台分くらいしか時間貸駐車場がないので、この分をカットするというのは非常に大きな効果があったといえる。
- イベント時については、昨年やったイベントでは、7000台分の駐車場を郊外部に用意した。ピークの時でだいたい5000台の利用があったので成功したといえる。概ね休日イベント時は成功したといえよう。
- バスロケについては、国土交通省から補助を受けている。「バスクール」(携帯電話バス情報システム)も併用している。
- 山下氏
- 交通基本計画の単位、範囲についてだが、手法として、組合形式などは欧米では実施されている。こういう形も参考になる。
- ロードプライシングについて財源で何をするのかという質問に対してだが、一般会計の財政状況だが、国税が48.8兆円で58%、地方税が34.7兆円で42%。地方が公共交通機関の整備を行なおうとした場合には、その独自財源の他に地方交付税とか国庫の補助金などの国からの支援として25.4兆円くらい必要なのではないかという試算がある。
- 現在、国の予算頼みになっていることから国の意向やアイデアに左右されやすく、地方での政策策定能力が涵養されない弊害が生じているという指摘がある。財源で収入は国税の方が多いが、支出で必要なのは地方が多いという逆転現象があるので、少なくとも支出の比率に対応した税配分にしていくべきではないか。
- 特別会計の分野ではガソリン税や軽油引取税なども、道路整備の水準が一定水準に達している現在では廃止していくべきで、その分をガソリン税ということを地方税にまわして、地方の交通計画の自主財源にしていくべきだ。また、ロードプライジングで集まった財源も他TDM政策や公共交通機関を充実させるための施策に振り向けていけばよい。
- 中川氏
- 企業の自由な活動と交通抑制について。大店法、周辺との調整についてだが、企業活動は基本的には自由だが、社会的コストを負担した上でということが大前提だと考える。大店法にはTDMの考え方は入っておらず、むしろ駐車場の付置義務があるために、自動車の発生を抑える力はない。自転車や公共交通で来てくれるお客を優先するお店を高く評価するようなことが必要。
- 大規模な施設、商業施設、あるいは病院などの責任についても、立地、建設、運用に関する計画の中に組み込まれていくようにすべきだ。地域のなかでの計画というのがきっちり作られていくことで、それに従って多くの企業活動が行なわれていくという姿になってほしい。
- 当面われわれができることは、交通について大切に考えている企業を消費者としてチェックすることである。これが企業にプレッシャーをあたえることになる。
- 酒井氏
- 地域がこれで行こうという決断については変えにくいものだと思う。鎌倉市の市民憲章では、「観光客の車は断りたい、自分たちも控えたいと」いうことを明記していた。
- 藤野氏
- 市民ができることとしての実例を挙げる。河原町商店街に大型店ができることになった。大型商業施設は付置義務により、20台分の駐車場を作らなければならない。しかし河原町通沿いには作れない。そこで裏寺町側に作ることになった。しかしタワー型しか作れないその費用は5億円かかる。そこで商店街側が自転車駐車場を作ることを提案した。それで5億円かかることが数百万で済むようになった。しかし、その無料駐輪場に自転車バイクであふれるようになって問題も起こっている。企業にも地元住民にも利益がある提案を誰がするのかどこがするのかをきちっとすることが大切。まず、市民と商業者で進めて後から行政が入るのが京都スタイルとしては良いのでは ないか。
- 土井氏
- (会場からの質問に対して)一方通行は守られていると思うが、知らずに破る人が多いだろう。
- まちづくりは関係する人が一同に意見をいう場がないと力にならないので、場をつくることが必要だ。
- 幹線道路と生活道路のメリハリはつけたい、というのが地元住民の声である。
- 会場からの意見
- 大学が市外に出て行っていることに危機感がある。全線通用の定期券を学生に販売したらどうだろうか。交通局は学生をどうバスに乗せるか知恵を絞るべきだ。
最後に
- 新田氏
- 万博公園は観光シーズンには身動きできない。1キロ進むのに1時間程度かかる。大型店舗が茨木市にもできたので、昼からは動けないというところがある。
- 審議会等で計画段階では通るが、後のチェックが日本ではできない。迷惑をかけているのに、罰則を科せられない。負担を社会的に吸収できるシステムが必要だ。
- 北原氏
- 地域最適と全体の不利益は金沢市では問題になっている。ノルウェーでは市民には反対が多かったが、市長が通しているという話がある。失敗すると行政訴訟となる。
- TDMはやった人に何らかの便益が上がるようにしなければならない。金沢では一つのものの効果はわかりにくい。小さな施策でも積み重ねれば、がまんしてよかったというものができるのではないかと思う。
- 北村氏
- 地域の最適と全体の不利益というのは常についてまわる。法体系をもう少し早く変えることができればかなり解決するのではないかと思う。制度に着目すべきである。各々が自分のやりたいことをやれば、その結果として全体の不幸になってしまう。
- どのように市民が協力して社会的行為を行えるようになるかがポイントだろう。そのような教育が小学校くらいには入っていかないといけない。そうなると、2世代3世代後には良くなるかもしれない。これには時間もかかる。
- もう一つは、お金がかかるが、ジレンマの強度が弱くなるようにする。例えば、駐車場があれば違法駐車はしない。公共交通が便利になれば、そちらを使う。これは時間とお金がかかる。そうでなければ、警察国家にするしかないが、これではおもしろくない。
- 時間がかかるか、金がかかるか、警察国家になるかということで、なかなか良い出口が見つからないが、こういう活動を通じて、だんだん人々の考え方、あるいは新たな価値体系がどんどん広がっていって問題が解決してほしい。
京都の公共交通の未来を創る市民フォーラム 共催: 京のアジェンダ21フォーラム
NPO法人環境市民
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