京都市の今出川通LRT交通社会実験
取材・執筆:長谷川 吉典(写真とも)
京都市のLRT「今出川線」計画
京都市都市計画局が2005年9月に公表した 『新しい公共交通システム調査 報告書』 によると、LRT「今出川線」は北野白梅町から出町柳まで区間延長4.1kmの、図に示すような路線と設定されています。区間の約2/3が単線と設定されています。
☆図はLRT「ルート3-1 今出川線・出町柳」の概要(出典:『新しい公共交通システム調査 報告書』23ページ)
『LRT(新型路面電車)ニュース』を発行
京都市の市民のLRTに対する認知は必ずしも高くありません。そこで、京都市都市計画局交通政策室では、市民がLRTに少しでも関心を持ってもらえるよう 『LRT(新型路面電車)ニュース』 を発行しています。
『LRT(新型路面電車)ニュース』では、京都市と地元市民組織、交通事業者、関係機関などが集まってLRT「今出川線」の実現性や課題を話し合う「今出川通の交通まちづくりとLRT検討協議会」の動きなどを逐次伝えています。
☆写真はLRT「今出川線」ルートの今出川通(寺町今出川:LRT「今出川線」案では単線を想定する区間)
2007年1月24日LRT交通社会実験のモニターを募集
今出川通のLRT「今出川線」交通社会実験は2007年1月24日に実施されることに決まりました。この交通社会実験では、LRTの軌道敷に当たる路面を区切り、そこをバスを「仮想LRT」に見立てて走らせます。
この「仮想LRT」の乗降を試す乗客には事前申し込み(2006年12月1日から)で募集した約300人のモニターの方々になってもらうことになりました。京都市による各種の広報や新聞等での報道の効果で関心が高まり、交通社会実験モニターへの応募者数は300名を大きく超え、締切後に抽選が行われました。
☆写真は『LRTニュース No.2』とLRT交通社会実験モニター募集のチラシ(右京区役所)
LRT社会実験を各種の方法で告知
2007年1月24日(水)に今出川通LRT交通社会実験を実施することは、
『市民しんぶん』 平成19年1月号2面 (PDFファイル)
今出川通(北野白梅町〜出町柳)で LRT交通社会実験 一般車両の通行は外側1車線ずつに
〜皆さんのご協力をお願いします〜
やチラシなど、さまざまな方法で市民に告知されました。
☆写真はLRT交通社会実験のお知らせのチラシ(左:地下鉄京都市役所前駅 右:市バス車内)
LRT紹介展示ブースを開設
今出川通LRT交通社会実験の実施に合わせて、京都市の“交通まちづくり”の考え方やLRTについて広く一般の市民に紹介するための展示ブースが開設されました。
- 場所:
- ホテルレジーナ京都 1階会議室
京都市上京区新町今出川下ル徳大寺殿町345 >> 地図 - 展示期間:
- 2007年1月16日(火)〜19日(金)・23日(火)〜25日(木)
いずれも10時〜17時 - 展示内容:
- 京都市の“交通まちづくり”の考え方やLRTの紹介パネル
LRTと京都市電の模型展示
国内外のLRTに関するビデオ上映 他
入場無料で、会場アンケートに回答した入場者には、抽選でLRTに関するグッズがプレゼントされました。
LRTは「公共交通優先のまちづくり」の1方策
LRT紹介展示ブースでは、グルノーブルやフライブルクなどLRTを活用する諸都市の公共交通路線図パンフの実物を手にとって見ることもできました。
また、京都市都市計画局交通政策室の方が交代で詰めていて、入場者は京都市に対して直接質問したり、あるいは自分の考えを直接述べて聞いてもらうことができました。
ブースに並べられたパネルでは、京都市都市計画局交通政策室の交通政策に関する考え方が説明されていて、LRTは「公共交通優先のまちづくり」の1方策という位置付けが示されていました。
☆写真はLRT紹介展示ブース(ホテルレジーナ京都1階)の説明パネルの1枚
「全市的視点」「新しい公共交通システム」「慎重に検討」
LRT紹介展示ブースに並べられたパネルでは京都市都市計画局交通政策室の交通政策に関する考え方が説明されましたが、そこでは上位の政策目標である「歩くまち・京都」の実現を「公共交通優先のまちづくり」によって実現しようとするとともに、実現の道筋についても述べてあります。
あくまでも市民と一緒に中立的な立場で「全市的視点で新しい公共交通システムのあり方について慎重に検討していきます」というのが、京都市のLRTに関する今後の進め方の基調になるようです。
☆写真はLRT紹介展示ブース(ホテルレジーナ京都1階)の説明パネルの1枚
嵐電北野白梅町駅と叡電出町柳駅にLRTの説明パネルを掲出
LRT「今出川線」の両端に位置する京福電車(嵐電)の北野白梅町駅と叡山電車(叡電)の出町柳駅には、京都市都市計画局交通政策室によるLRTの説明パネルが出されました。内容は以下のようでした。
- (1枚目)
- 新しい公共交通システム〜未来の京都の夢を語ろう〜
LRTとは - (2枚目)
- これまでの検討経過
導入に向けての課題 - (3枚目)
- 今出川通(西大路〜川端)でLRT交通社会実験を実施します
LRT紹介展示ブース開設のお知らせ
2枚目には「京都市としては、LRTの導入については、中立的な立場で、LRTの良い面と、導入に向けての課題の両面を市民の皆様にお示ししながら、一緒に考えていきたいと考えています」と市の姿勢が示されています。
☆写真はLRT説明パネル(左:嵐電北野白梅町駅 右:叡電出町柳駅)
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 交通社会実験の概要
今出川通LRT交通社会実験の概要は図のとおりです。今出川通の車道中央部にLRT開通後と同様の走行空間を確保し、そこに仮想LRTに見立てた実験バスを10分間隔で運行します。
☆図は今出川通LRT交通社会実験の概要(出典:『LRT(新型路面電車)ニュース No.2』)
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 各報道機関が実験を取材
2007年1月24日(水)午前10時、今出川通LRT交通社会実験が始まりました。写真は叡電出町柳駅前の「仮想LRT」実験バスの乗り場の様子です。
10分間隔で出発する実験バスに班分けされたモニター客が案内係員の指示に従って乗車していきます。
今出川通LRT交通社会実験の世間の注目度は高く、報道機関の方や一般の方が沿線至るところでスチルやビデオのカメラを構えて実験の模様を追っていました。
☆写真はテレビカメラの前でモニター客がLRT実験バスに乗車する様子(出町柳駅前)
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 出町柳には説明コーナーを設置
出町柳駅前には叡電の駅の前のタクシー乗り場の隣の敷地にテントが設営されました。テントには受付が設けられた他、写真のようにLRTの説明パネルが掲出されていました。
筆者もモニターとして実験バスに乗車しましたが、モニター当選通知で“H−1班”と指定されました。“H−1班”は10時40分出町柳発→11時04分北野白梅町着の7号車です。先に出発する班のモニター客が並ぶよう呼びかけられているのを見たりしながら、自分の乗車時刻が来るのを待ちます。
☆写真はLRTの説明パネルが掲出された交通社会実験の受付テント(出町柳駅前)
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 実験バスの車内から
写真は“H−1班”の乗車する10時40分出町柳発→11時04分北野白梅町着の西行きの実験バス7号車の車内の様子です。
青いスタッフジャンパーの方が京都市都市計画局交通政策室の職員です。車内でLRTや交通社会実験の考え方、京都市の交通政策などについて説明しました。
写真は北野天満宮前に来たところで、写真前方に見える電停に見立てたカラーコーンの配置について意図を説明しているところです。
実験バスには乗務員の他に、運転席のすぐ後に制帽を被った交通局の職員の方が添乗しています。その横には前方へ向けてテレビカメラを構えて読売テレビの方が乗っています。
写真中央には、対向する東行きの実験バスが小さく見えています。
☆写真は今出川通LRT社会実験の実験バスの車内(北野天満宮前)
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 仮想LRTはノンステップの市バス
今出川通LRT交通社会実験で車道の中央に設けられた専用の走行空間を走行する仮想LRT車輛には、京都市交通局の市バスのノンステップ車輛が用いられました。
写真のように、方向幕の部分に「LRT交通社会実験」という目立つ青地の表示を行っています。写真では運転席に「3」の数字が見えますが、仮想LRTの3号車であることを示しています。
☆写真は仮想のLRTにモニター客が乗り込む様子(北野白梅町)
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 300名のモニターを班分けして実験バス各便に
スタッフの方に伺ったところ、今回の今出川通LRT交通社会実験へのモニターの応募は、定員300名に対し、それを大きく上回る応募があり、残念ながらお断りをせざるを得ない方が多かったということです。
300名のモニターは、出町柳〜北野白梅町を通しで乗る班もあれば、途中の北野天満宮前で乗り降りする班もあるというように、細かく班分けされて実験に参加しました。
☆写真は仮想のLRT「北野天満宮前電停」からモニター客が実験バスに乗り込む様子
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 沿線や周辺では自動車交通量を調査
今出川通LRT交通社会実験の当日には、今出川通の中央車線を「LRT」が占有したときの、今出川通や周辺道路の交通状況を各所に配置された調査員が調べて記録していました。当日には、今出川通LRT交通社会実験の影響で周辺幹線道路の随所に混雑が生じた模様です。
しかしながら、京都市の都市化された市街地の交通政策の最終目標は“自動車の利用を控えましょう”とするべきだと個人的には思うので、今回、今出川通から逃げた自動車が周辺の道路を混雑させることについては、
確かに道路混雑はよろしくない → 京都市では政策的に自動車利用を抑制する
という政策判断でよいと思います。
“渋滞で時間が掛かること”は、人々が自動車利用をあきらめる現実的な理由になっているので、渋滞している車線の横を公共交通機関が円滑に運行しているのを見せつけること自体は、公共交通機関への誘導施策として意図的にやってもよいのではないでしょうか。
☆写真はLRT交通社会実験の道路交通への影響を把握するための交通量調査の様子
今出川通LRT交通社会実験 - 沿線の室町自治連合会はLRT今出川線に反対を表明
LRT「今出川線」沿線の自治連合会の中では、室町学区の区内各種団体で構成する室町自治連合会が、今回のLRT社会実験に際してLRT今出川線に反対する明確な意思表示を行いました。
室町自治連合会は、写真のように横断幕やステッカーを掲出するほか、烏丸今出川交差点で抗議行動を行いました。
写真の黄色いステッカーで述べられている主張は次の通り(原文のまま)です。
LRT今出川線断固反対!!
車線減少に伴う交通渋滞
沿線商店の荷さばきの影響
渋滞に伴い沿線商店の集客に悪影響
利用客減少に伴い赤字経営
京都市が進めようとしているLRT(新型路面電車)「今出川線」について地域住民の立場から反対を声明いたします。実施に伴い交通渋滞等の発生混雑・沿線商店等の荷さばきなど日常生活に多大な影響が予測されます。また、市電が撤廃された当時に比べはるかに交通量が多くなっている現在において再度、路面電車を今出川通に走らす構想は市電撤廃の総括すらなされていない。白梅町〜出町柳間においては観光客の減少などで利用客が見込める状況ではなく赤字経営は目に見えて明らかである。こうした観点からLRT(新型路面電車)「今出川線」については断固反対を声明いたします。
室町自治連合会
肩に力が入った文章ですね、とか「予測」とか「明らか」とかホントですか? というツッコミは置いておくべきでしょう。
地域が納得していないのは、とても肝心な点、つまり、交通関係の将来計画は本来、“まちづくり”(地域の振興)計画の中に、その具体的な一部として位置付けられているべきなのに、LRT今出川線に関してはその位置付けが十分になされてなく、地域の人々が「歩くまち・京都」が実現した未来の今出川通を思い描くことができていない、というところに理由があるのではないでしょうか。
LRTの計画を担当する京都市都市計画局交通政策室には、“都市計画”の視点からの今出川通の具体的な将来ビジョンの作成にも頑張ってほしいところです。こちらを地元参加型で計画決定できれば、地元の支持を得てLRTの整備も大手を振って推進できるでしょう。
たいへんだとは思いますが、正攻法のアプローチには正攻法の強さがあると思います。京都市には拙速を求めず正攻法でLRTの事業化を進めてほしいところです。
☆写真はLRT交通社会実験に際して掲出された室町自治連合会の反対の意思表示
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 「荷さばき駐車場」を沿線に確保
今出川通LRT交通社会実験では、片側1車線になる今出川通で荷さばきをしたい車が困らないよう、臨時の「荷さばき駐車場」が確保されました。
写真ですと、看板を手に持った誘導係員の方の後の駐車場が臨時の「荷さばき駐車場」です。ちなみにこの区間では、実験バスはカラーコーンで仕切った単線の走行路を走っています。
商店などの商品搬出入に伴う荷捌き駐停車に関しては、このように、適当な間隔で駐車スペースを確保する方策でも問題は解決可能だといえるでしょう。
☆写真は実験バスが行く中「荷さばき駐車場」を案内する様子(今出川新町付近)
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - やはり無理があるか? 単線の行き違い
今回の今出川通LRT交通社会実験のハイライトシーンの一つが、烏丸今出川交差点で行われた、交通信号を全部赤にして行う単線区間での行き違いでした。
実験バスに乗車して行き違いを体験し、また沿道から行き違いを見守りましたが、個人的な感想としては、無理があると思います。
実験では東行き実験バスが先に交差点に到着し、西行き実験バスを数分待つダイヤが組まれていましたが、延長4.1kmの区間で数分という行き違いの待ち時間は市街地路線バスと比べたLRTの高速性の長所を少なからず損うことになります。
また、このような行き違いを複数の交差点で行いながら単線で高密度運行させようとすると、不測の事態で何れかの電車が遅れると、行き違い待ちで反対方向の電車にも遅れが伝播して、定時運行は非常に難しくなりそうです。かといって運行の乱れに備えた余裕時間なども織り込むと、平均速度はますます低くなってしまいます。
今回の実験を見ると、もしLRTを導入するのなら、自動車を大胆に締め出す覚悟で、複線の線路を敷いて速達性を含めたLRTの諸々の長所が十分発揮されるかたちでやるべきではないかと思われます。
☆写真は烏丸今出川交差点内でのLRTの単線運転を想定した行き違いの様子
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 新聞報道
今出川通LRT交通社会実験の模様を各報道機関が報じましたが、京都新聞は24日の夕刊と翌25日の朝刊で2回報じました。
LRT導入へ 実験バスGO
京都市、今出川通で初実施
車線減少で渋滞の列も
(京都新聞 2007年1月24日)
定時運行に高い評価
京都市のLRT交通社会実験
モニター客「早期の開通を」
渋滞、不満の声も
(京都新聞 2007年1月25日)
記事の見出しだけを抜き出して示していますが、京都新聞の記事の論調は、渋滞が生じたことを書きつつも、前向きに評価するものでした。
24日夕刊の題字の下の「三十六峰」欄には次のようなフレーズが載りました。
◆チンチンの音も復活させて よ。京の町、公共交通はやっ ぱりこれ。自動車そこのけ。
2007年1月24日今出川通LRT交通社会実験 - 迷惑駐停車の排除が自動車交通をも大幅に円滑化
今出川通の中でも、交通社会実験中は駐停車が完全に排除された千本今出川の付近では、写真のように渋滞とは逆に自動車が極めて円滑に通れる状況が生まれました。
これは11月の観光ピーク時の東山交通社会実験のときと同じで、迷惑な駐停車を完全にブロックすることで、交通量が道路の処理能力の範囲内に完全に納まる状況をつくれれば、クルマは普段は考えられないほど円滑に流れるということを実証しています。
☆写真はLRT交通社会実験中で駐停車が完全に無くなった今出川通(千本今出川)
LRT交通社会実験の後 - LRT今出川線沿線地域で住民アンケート調査を実施
京都市都市計画局交通政策室では、LRT交通社会実験の後、今出川通周辺に住んでいる方を対象としたLRTに関するアンケート調査を行いました。
アンケート調査の質問項目は大別すると、
- 今出川通LRT交通社会実験について
- 今出川通の現状やLRTについて
で、LRTに関する質問項目は交通社会実験の際に、モニターに尋ねたのと同様の内容となっているようです。調査票を見る機会がありましたが、賛成・反対や問題点の指摘に関しては忌憚の無い考えを記入できる内容になっていました。
1月24日の交通社会実験当日に直接見ていなくても、後でマスコミ報道等を通じてLRT交通社会実験が行われたことを知った方は少なくないでしょうし、このようにLRTの計画検討があることが意識されているタイミングでアンケート調査を行うことは、多くの方の意見を吸い上げられてよいと思います。
さて、アンケート調査の結果は、自動車交通への影響などLRT交通社会実験の実施結果とあわせて2007年3月28日の第3回(最終回)「今出川通の交通まちづくりとLRT検討協議会」で報告され、『LRT(新型路面電車)ニュースNo.3』でも公表されました。
☆写真は今出川通LRT交通社会実験中移動された市バス烏丸今出川東行停留所
LRT交通社会実験の後 - 京都市都市計画局交通政策室から公表された実施結果
自動車交通への影響など今出川通LRT交通社会実験の実施結果が、『LRT(新型路面電車)ニュースNo.3』で公表されました。詳しくは
『LRT(新型路面電車)ニュースNo.3』(PDFファイル)
をご覧いただきたく思いますが、概要を抜粋して以下に示します。
今出川通LRT交通社会実験の実施結果
- 自動車交通への影響
- 事前周知の徹底や市民の皆様のご協力により、今出川通の交通量は約2〜3割減少しました。
- しかし、車線減少や烏丸今出川交差点における実験バスの行き違い、右折レーンの撤去などの影響などから、一部断続的な渋滞(西行約700m、東行約400m)が生じました。
- 一方、右折レーンを確保した北野白梅町〜千本今出川では、目立った渋滞は発生しませんでした。
- 市民等の反応、評価
- 日常生活への影響について、アンケートでは、沿線住民の約6割が「なかった」と回答しました。
- 沿道の荷さばきについては、概ねご協力をいただいたものの、商業者アンケートでは、約6割が実験による影響を受けたと回答しています。
- 迂回をお願いする看板やプラカードを見たドライバーの多くが、今出川通への進入を控えるなど、概ね協力的でした。
- 実験当日、現場では「LRT導入に賛成である」といった好意的なご意見をいただく一方、「廃止した市電をなぜ復活させるのか」「今でも渋滞しているのにLRTが入ったらもっと渋滞する」といったご意見がありました。
- 今出川通へのLRT導入に対する意向
- 意見交換会時のアンケート結果(平成18年7〜10月・32.1%)と比較すると43.9%となるなど、LRTに対する前向きなご意見が10%以上増加し、今回の実験実施により、LRTに対する認識や理解は深まったと考えられます。
- 一方で、アンケート結果を見ると、今出川通周辺にお住まいの方の過半数は、LRT導入に慎重な意見を持っており、とりわけ、沿道商業者の7割以上が、導入に対して否定的な見方を示しています。
今後の課題
- 今出川通のような道路幅員が狭い道路では、交差点での行き違いを行う必要がある箇所や右折レーンの確保が困難な箇所においては、自動車交通への影響がとりわけ大きいことが改めて実証されました。
- 荷さばき車輛への対策が不可欠であること、荷さばきのルールづくりや定着化を図る必要性が確認されました。
- LRTの導入に当たっては、総合的なTDM(交通需要管理)施策による自動車交通の抑制をはじめ、課題の解決が前提となります。
- LRTの導入は、まちに大きな変化を与えることになりますが、LRTがまちの活性化に寄与するためには、周辺住民や沿道商業者等と一体となって、まちの将来性を見据えたまちづくりに積極的に取り組む必要があります。
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